「当時、江戸や上方では蒔絵が主流でしたが、象谷はあえて時絵によらず、京都の東本願 寺や大徳寺に伝来していた中国で発達した堆朱、堆黒、存清など唐物漆器、あるいは茶人 の愛用する「キンマ手」とよばれる南方渡来の籃胎漆器に接し、これらを移植して日本的 な漆工技法としてよみがえらせたのです。この意味で、日本特有の風土の中で長い時間を
かけて熟成された蒔絵とは異なり、広く東アジア文化圏の中で関係づけられるものです。
象谷は伝説上の人物でした。これまで讃岐漆芸の祖として敬愛をこめて語られることは あっても、その行状となると深いベールに包まれていました。あまり確定していることも なく、ただ高松松平家の宝庫深く秘蔵されていた象谷の作品だけが、燦然と輝いていまし
た。多くの流布する俗説は、紀淑雄が明治二十九年に早稲田文学に連載した「讃岐彫と 玉楮一家」から派生したものと思われますが、出典も分からないまま、伝説化して語り継がれてきたようです。
そこでこれまで広く行われていた造谷の通説を、「御用留」などの基本文献と象谷の遺 した原品をもとに、実証的に研究し、裏付ける作業を初めて試みたのが本書です。そのた
め象谷自筆の「御用留」を全文読み下し、巻末には本文の根拠となる文献をできるだけ多 く引用し、参考資料集としてあります。また「御用留」にも記述があり、象谷の代表作と 言われるものについては、さまざまな角度から撮影した部分詳細図もあわせて収録してあ
ります。
内容:はじめに/図版等=玉楮象谷、雪堂と綺賞二堂、文綺堂蘭斎と玉楮象谷、紅花緑葉堂/象谷作品部分詳細図/御用留/玉楮象谷略系譜/玉楮象谷年譜/註文献/参考資料/収録図版目録/索引
発行年:2004年
サイズ:249ミリメートル×258ミリメートル
重量:1,670グラム
ページ数:275ページ
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